2009年01月25日

来てくれてありがとう

年の明ける直前に、訓練の大先輩が一頭、
遠い遠いところへ行ってしまった。


悲しかった。
そこにあったものが、命が、ふとなくなってしまうことが、理不尽に思えてならなかった。


同時に、自分がそんなにも悲しいことに驚いた。
まだ数回しか訓練を一緒にしていないのに。
同じ犬種のそれぞれの見分けが、やっとつくようになってきたくらいなのに。


だけど泣けなかった。
もうその時私のところには、抱えきれないくらいの気持ちがあって。


これも昨年末になって激しさを増した遠い場所での争い。
連絡の取れない関連国出身の知人たちと、
対立側と同じ信仰を持つ知り合いたちと、
日ごとに奪われ、破壊されていく命と暮らし。


あまりのことに、私の心はすでに閉じようとしていた。
体と同様こころにも、守ろうとする本能がある。
対応しきれないほどのことは、
うずくまって、感覚を鈍らせて、胸を抱えて過ぎるのを待ってしまう。


悲しみは弱くなることはある。
でも決してなくなったりしない。
忘れられる瞬間があったとしても、
すべてを忘れてしまうことはきっとない。


そうして行き場をなくした私の気持ちは、からだのあちこちに痛みとなって現れた。
ちゃんと外に出してあげなかったからだな。
からだがかわいそうと思うけれど、どうしたらよいのかも分からなかった。


それが今日、飼い主さんに会えて動いた。
ちょうど笹舟が岩につかえていたのを、次の船がわずかに触れて流れに戻すように。


さすがに訓練の場で泣くのは堪えた。
帰りの電車の中では半べそで、いえで用事を済ませていると涙がこぼれてきた。
「お願いだから帰って来て」と心の中で叫びながら、大きな声を出して泣いた。




すごく辛いときに、来てくれてありがとう。

ニックネーム こた at 21:53 | TrackBack(0) | ひとこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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